スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:-- | スポンサー広告 | comment (-) | trackback (-) | page top↑

とりあえず生存報告

 皆様、お久しぶりです。
何だかんだで今月初更新ですってね、何かもう色々とスイマセン。
一部では失踪したとか拉致されたとか死亡疑惑まで出てましたがそれなりに生きてます。
更新出来なかった理由は以下のどれかとは限りません。
とりあえず生きていればそれでいいんじゃないかな、って言い訳ですかそうですか。


・風邪でダウンしていた。
・交通事故で入院していた。
・国内旅行に行っていた。
・結婚してゴタゴタしていた。
・人材不足の為仕事量が増えた。
・出世して管理するほうになった。
・中国の地震に遭遇していた。
・むしろ逮捕された。
・疲れたので更新する気がなかった。

さて、正解は気が向いても公開しませんので悪しからず。
(じゃあ書くなよ)

とりあえず今回は生存報告だけでも。
しばらくネットから離れるとただでさえ低いアンテナがもっと低くなっていると実感しますな。
RSSリーダなんかかなりの数の更新があったりとかして見るのだけでも一苦労。


「裸で展示はけしからん」、マンチェスター博物館 ミイラに服を着せる


>同館では定期的に来場者からアンケートを取っているが、「裸のミイラを見せることに公共的価値や教育的価値はあるのか」「ミイラにもっと敬意を払うべき」とのコメントが数か月前から非常に多く寄せられるようになった。対策として、展示中のミイラ11体のうち、全裸の2体と半裸の1体に布をかぶせたという。 

ミイラを歴史的資料と見るか死者への冒涜と見るか、それは個人の認識の違いですから議論しても水掛け論で終わるので何も言いませんが。


個人的にはそれでわいせつだと言うならダビデ像にも服を着せるべきだと思うのだがどうか。
(というかミイラに性的な意味を求める時点で人として何か違う気がするのだが)


スポンサーサイト
21:37 | 短編小説 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑

逃亡

 逃げるにはそれなりの理由がないと様にならない。
そして観客は訳もなく理由を求めたがる。
『何故彼ら夫婦はこのような行動を起こしたのでしょう?』
人の突発的行動に理論的説明を求めること自体が完全な間違いなのに。
晩飯を決めるのに理屈なんているのか?
他人のカラオケの選曲にいちいち理由を求めるのか?
「人は理由もなく殺人を犯す」とは江戸川乱歩だったか。

「アンタ、これからどうするのさ!
こんなに警察に囲まれて、あぁマスコミまで来てる」
「そうだな、もういっそ商売の宣伝でもするか、
でも売れなかったからこんなことやってるんだしなぁ」
「だから売れないって言ったのよ、『生たまごっち』なんて!」
「生命の素晴らしさを肌で感じることの出来る商品じゃないか」
「そんなもん有精卵って言いなさいよ」
「市販の卵を必死で温めようとする人に答えようとだな」
「あぁハイハイそうでした。で、次に出したのが確か水だったわね」
「そうそう、『道頓堀の天然水』だ」
「飲みたくないわよそんな水」
「人間の怖いモノ見たさの心理で売れると踏んだんだが」
「で、中身が緑茶だったのよね、茶葉入りの。
そんなことしてるからあんなに借金が膨れあがったのよ」
「だからこうやって銀行強盗をやっているんだろ」
 そう、確かに押し入ることには成功した。
だが素人が金庫を開けられるはずもなく、そうこうしているうちにあっさり包囲されたのだ。
「でもこれからどうするの」
「ふっふっふ、そんなこともあろうかと、さっき電話で鍵師を呼んだ」
「鍵師ですって? こんなところに来るわけないじゃない!」
「どうもー、ロッキーロックシステムの岩木です。
いやぁ、人が多くてここまで来るのが大変でしたよ、全く野次馬って邪魔ですねぇ」
 突然目の前から声がした、前を見ると黒っぽい服を着た、やけに背の高い男がそう喋りながら近づいてくる。
「ど、どうやって来たんですか」
「どうってそりゃ玄関から」
 ふと見ると外は更に騒がしくなっていた。
『馬鹿野郎』とか『犯人を刺激するな』とか怒声が飛び交っている。
「で、何を開けて欲しいんですか」
「あ、あそこにある金庫です」
 俺の後ろには二メートルを越えるぐらいの大きさの分厚い鉄で出来た金庫だった。
「ほう、こりゃ大きいですな。大砲撃っても壊れないぐらいの。
――で、開けるんですかコレ、多分中はたいしたモンは入ってませんよ」
「どうして分かるんですか?」
「分かるんですよ、こんな職業やってるとね。
こんな厳重な金庫の中ってのは大抵が絵画とか株券とか、そんな素人が売りさばきにくいものばかり入ってるんですよ。
外は立派でも中はグダグダってのはよくある話ですから。
それでもいいなら開けますが更に罪は重くなりますよ」
「えっと――」
「いい加減にして。これだけ囲まれたらもう逃げられないじゃない、終わりなのよ私たちは!」
「おぉ主役気取りですか、じゃそんなアナタに主役をプレゼントしましょう。
『ハムレット』か『マクベス』か『リア王』『オセロ』、どれがいいです?」
「それ全部主役が死ぬんじゃ」
「ご名答、そのついでにもう一つ。
丁度ここにロケット花火がありますから、あそこの集団に一発当ててみません?」
 彼が指さした先にはマスコミが生中継をしていた。
「これ以上罪を重ねてどうするんです」
「いやね、さっきそこのリポーターに罵られたから、その腹いせに。
女子アナだったらよかったんだけどねぇ」
 見るとそのリポーターは遠くから分かるぐらい脂ぎっていた。
「完全に私怨じゃないですか」
「よし、とりあえず挨拶代わりに一発」
「止めてください、というかアナタも捕まりますよ」
「包丁で人を殺したからといって鍛冶屋に責任があるわけじゃない、だから大丈夫です」
「『ラスコーリニコフの斧』って知ってます?」
「青少年にエロ本を渡すなってことでしょ、だから武器は渡してないじゃないですか」
「・・・アナタには常識はないんですか」
「服着て会話してりゃそれで十分ですよ。あぁそういえばこの前医者に言われましたね、
『世間の常識とか頭のネジとかを母親の腹の中に置いてきただろ』ってね。
道理で頭が軽いハズだと思ったら、叩いても文明開化の音はしませんよ」
「叩きませんよ、って言うかホント何しに来たんですか!」
「そりゃもう鍵を開けにね、で、開けるんですか。
手っ取り早くこの建物ごと破壊すりゃ簡単に中身を取り出せますが」
「アナタ鍵師でしょうが」
「まぁ一応はね、でも支払いをして頂かないとねぇ、こっちもボランティアじゃありませんし」
「ねぇアナタ、もう自首しましょうよ、今なら罪も軽いハズよ」
「――そうだな、これ以上罪を重くする必要なんてないしな」
「そうですか、じゃあとりあえず両手を挙げて外へ出れば大丈夫ですよ」
「こ、こうですか」
「そうそう、そのまま『商売繁盛で笹持って来い』と叫べば」
「何の掛け声ですか、大体そんなことしても」
「商売繁盛で笹持って!」
「やっても意味無いから」
「そうでもなさそうですよ、ほら、警察が動揺してます。
これで逮捕された後に精神鑑定を受けられるじゃないですか」
「イヤがらせですか」
「えぇ、こんなところまで呼んだ腹いせに」

『えー、たった今現場で動きがありました。犯人たちが両手を挙げて出てきました。
どうやら投降するようです。繰り返します、犯人たちは――っ!』

突如として向こうの方で爆発音が聞こえた。
ふと振り返ると俺の背後でロケット花火をアナウンサーにぶち当てて爆笑している鍵師がいた。
 あとで絶対一発ぶん殴ってやる。俺は両手を挙げながらそう心に誓っていた。
23:42 | 短編小説 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑

燃焼


「―――今、日本は混迷しております。
このような状況で我々政治家が手をこまねいていていいのでしょうか。
市民党の森田たけし、森田たけしをよろしくお願いいたします!」
 などと駅前ロータリーで声を張り上げている一人の男。
その付近に忍び寄る二人の男、一人は年配で、もう一人は拡声器を持っている。

「その演説、ちょっと待ったー!」
「はい、速やかに演説を中止して下さーい」
「この国を――」
「速やかに演説を」
「耳元で拡声器を使わないでくれ! 全く、何なんだアンタたちはっ!」
「我々は不完全燃焼撲滅団体、人呼んで『燃焼Gメン』だ!」
「ね、燃焼Gメン?」
「そう、不完全燃焼をこの世から撲滅するために、日々闘っておるのです」
「でも私は演説をしているだけですが」
「その演説が不完全燃焼なのですよ」
「速やかに演説を」
「だから耳元で叫ぶな! 全く失礼極まりない」
「いけませんなぁ、不完全燃焼を侮っていた目黒区在住のハイジャンプ荒川さんもそれが原因で・・・」
「誰だハイジャンプ荒川って」
「最後の言葉が『のび太さんのエッチ』でした」
「どんな状況なんだよ」
「それこそが不完全燃焼の怖さなのです。よし、すぐに消火活動を開始しろっ!」

 その掛け声とともにどこからともなく現れた黒服の集団。
彼らはすぐさま『森田たけし』と書かれていた横断幕やポスターをはがし始めた。

「ひ、人のポスターをっ!」
「ご心配なく、消火活動の一環です」
「こ、これは横暴だ」
「確かに、しかしそう言っていた台東区在住のドメスティック小林さんも・・・」
「だから誰なんだよ」
「笑顔が素敵でした」
「そんなこと知るか!」
「さぁ、後はこのタスキをつければ消火完了です」
「・・・・・・び、ビートタモリ?」
「どうです、この燃焼すらしないような名前は、凄すぎて声も出ないでしょう」
「・・・・・・」
「ご心配なく、登録なんかも全て『ビートタモリ』に変更しておきました。
もう知名度抜群ですよ」
「これからは気をつけて欲しいですな」
「・・・・・・」
「ん、どうしました?」
「あー、気絶してますね」
「となると、再燃焼はもうないな、よし、付近に飛び火していないか調べるんだ」

命令されるやいなや駆け出す黒服の男たち。
数分後、彼らはすぐに戻ってきた。どうやら何かを報告しているようである。

「そうか。ボス、不完全燃焼の疑いのある場所を発見しました、あそこです」
「よし―――、お嬢さん、ちょっとすいませんね」

と、彼が声を掛けたのは路上に自作の詩を並べている女性。
周りに人はいない。

「な、何よ、ワタシはただ路上で詩を書いているだけじゃない」
「いや、別にそのことをどうこう言うつもりはありませんがね。
その詩の内容が不完全燃焼の疑いがあるのですよ」
「大丈夫です、ちゃんと燃焼していれば問題はないですから。ちょっと確認させてくださいね。
ふむ、何々―――」


『立てば毒薬 座れば布団 歩く姿はブリの腹』

『ゆりかごから墓場まで 夜は墓場で運動会』


「・・・しまった、もう手遅れか。おーい、すぐに犠牲者の救出を」
「いきなり失礼ね、人の詩に向かって」
「何が詩ですか、最後のなんか鬼太郎じゃないですか。ボスからもお願いします」
「そうだぞ、大体なぁ、路上の詩人なんてどれも同じ―――」

「・・・ボス、どうしました、ボス?」
「な、な・・・」
「ナッシング加藤さんはまだ生きてますよ」
「なんて素晴らしいんだっ!」

『窓際で いったんもめんが こんにちは』

「あ、やっぱり鬼太郎じゃないか」
「こんな素晴らしい作品を読んだのは初めてだ」
「えぇー」
「ワタシも自分の作品が褒められたのは初めてだわ」
「普通その時点で気付くだろ」
「そうだ、これはまさに運命だ」
「きっとワタシたちは出会うべくして出会ったのよっ!」
「おぉ、アイラブユー」

「―――あのー、ボス、聞いてます?
もしもーし、消火活動はどうするんですか? ボス?」
「えぇい、そんなものはどうでもいい」
「はい?」
「いいか、燃えるような恋をしている二人のにはなぁ、不完全燃焼なんて存在しないんだよ!」


「・・・・・・そうですか、皆さん速やかに消火活動お願いしまーす」
「おい、待て、うわっ! いきなり水をかけるなっ!」

22:01 | 短編小説 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑

ニヤリ


 14:20 駅前銀行の近くの車内

「いいか、計画の確認をするぞ。
まず三人揃って素早く突入する、そしてオマエが拳銃を一発発射して監視カメラを破壊、
で、俺が金を要求する、オマエたちは周りを監視しろ」
「了解」
「りょーかいっ!」
「俺たちが一千万円を返済するには、もうこれしか残されてない。
この借金を返したら、故郷に帰って三人でゆっくり暮らそう。
―――オマエら、気を入れて行くぞ!」



 14:15 駅前銀行の支店長室

「・・・はい、そうですか・・・はい、えぇ、かしこまりました。
では、明日の午後、全額用意でき次第こちらから連絡いたします、
はい、失礼いたします」
「・・・支店長、どうでしたか?」
「ダメだ、やはり解約するらしい。
・・・このままだと一千万円の着服がバレてしまう」
「別の人の口座から横流しすれば」
「数千万を預金していて、しかも管理を全てこっちに任せっきりだったのはこの人しかいないんだ。
―――あぁ、どうすりゃいいんだ!」



 14:10 駅前銀行へ向かう道路

「いやぁ、まさか、ここまで来るとはねぇ。
一千万円なんて大金が手に入るなんて。人生って分からないよなぁ。
さぁて、とりあえず今日は番号の確認と、本人の身分証明だけか。
気合い入れていくぞー」



 14:30 駅前銀行内

「42番でお待ちのお客様、一番カウンターまでお越し下さい」
 ウィィィン。
「オマエら、静かにしろ!」
 パーン!
「よし、監視カメラに命中したぞ」
「静かにしろ、今監視カメラを破壊した! 静かにしていれば、危害は加えない。
おっと、警察に連絡しようとしたら、容赦なく撃つ!
さぁ、さっさとこのカバンに金を詰めるんだ! 早くしろっ!」



 14:31 銀行の応接室

「では、確認させていただきます」
「―――おや、何だか外が騒がしいですね。
もしかして銀行強盗でも入ったとか?」
「まさか、おおかた誰かが爆竹でも鳴らしたのでしょう。
おーい、鈴木君、ちょっと見てきてくれないか?」
「はい、分かりました」



 14:32 銀行内

「さっさとありったけ詰めるんだ。そうだな、最低でも一千万円は詰めろ」
「な、お、オマエら何してるんだ!」
「黙れ、見りゃ分かるだろ、我々は銀行強盗だ」
「長男のニ・ホイ、次男のヤ・ホイ、そして三男のリ・ホイ」
「三人揃って」
「三波春夫でござい」
「おいおい、三波春夫は三人もいないよ」
「俺たち犯人が騒いでどうするんだよ」
「あ、もっと別のボケの方が良かったかな」
「でも場の空気悪いからなぁ」
「だから静かにしろって言ってんだろ!」



 14:33 応接室

「・・・どうやら銀行強盗らしいですね」
「そんな! 僕の一千万円はどうなるんです!」
「しっ、声が大きい、ここは黙っていれば大丈夫ですよ、まさか気付くわけがありませんから」
「・・・なるほど、そりゃそうだ」
「この調子だと鈴木君が人質に取られそうですね」
「いいんですか?」
「我々はお客様の安全を第一に考えていますので。さて、今の内に警察に連絡しておきましょう」



 14:33 銀行内

「うちにはそんな一千万もの大金はありません」
「ないわけないだろ、銀行に金がある、これは常識だぞ」
「最近は不況なんです。だからそんな大金なんてありません!」
「もういい! さっさとここの責任者を呼べ!」



 14:34 支店長室

「支店長、どうやら銀行強盗が侵入したようです。
犯人たちは一千万円を要求しています」
「何だって! ・・・いや、待てよ。うむ、これは使えるぞ」
「ど、どういうことですか?」
「いいか、私たちが着服した一千万円、これは彼ら強盗によって盗まれたのだ。
そうと決まれば話は早い。さっさと一千万円を渡しなさい、
そして警察には二千万円盗まれたと報告するのです」
「しかし支店長、我が銀行にはそんな大金はありませんが」
「君は何かを忘れていないかい。今応接間じゃあ一千万円の当りくじの確認をしているところなのだよ」
「なるほど、それを上手く利用するわけですね」
「あぁ、どうせ何もしなくても刑務所行きは確実なんだ、さぁ、男だったらドンと行って来い。私は当りくじの方をなんとかする」
「私がですか? いや、私女なんですけど」
「ごちゃごちゃ言ってないでさっさと―――」
「支店長、犯人たちが来いと言ってますが」
「何だって?」
「男だったらドンと行くんですよね、支店長。こっちは何とかしますから、なるべく引き延ばしておいて下さいね」
「引き延ばせって・・・」


 14:35 銀行内

「さぁ、さっさとありったけの金を袋に入れろ!」
「と、とりあえず、お茶でもどうです」
「そこでまったりする必要ねぇだろ。こっちは急いでるんだっ」
「・・・スイマセン、小切手ではどうでしょう」
「どこの銀行強盗が小切手で満足するんだよ、現金で寄こせ」
「じゃ、じゃあ宝くじなんかどうです?」
「ふざけてんのか?」



 14:36 応接室

「スイマセン、ちょっといいですか」
「おぉ、副支店長、どうかしましたか?」
「ちょっと今銀行強盗が来てまして、一千万円を寄こせと言っているのですが、あいにく今は少ししか置いていないのです。そこでお願いですが、貴方様のその当りくじを貸して頂けないでしょうか?
いや、もちろん一千万円はこちらで立て替えさせていただきます。何なら利子を付けてもかまいません。
お願いです、我が銀行を助けていただけないでしょうか」
「・・・ちゃんと後で払ってもらえるんでしょうね」
「それはもちろんです。利子をつけてお返しいたします」
「分かりました。僕なんかが助けになるのなら喜んで」
「ありがとうございますっ!」


 14:38 銀行内

「まぁタバコでも」
「だから何で証拠を残すような真似をするんだよ」
「そうだ、もれなくアンケートにお答えいただくとこの貯金箱を」
「そろそろ撃つぞ」
「支店長―――お待たせしました、これが当りくじです」
「おぉ、そうか。・・・申し訳ありませんが、この銀行には今大金はありません、ですからこの一千万円の当りくじを差し上げますから、どうかご容赦を」
「それは証明出来るのか?」
「証明は出来ません、でももしここで札束を出したとして、貴方はニセモノだと疑うのですか?」
「うぅむ」
「兄貴、どうやら誰かが警察に通報したみたいです!」
「何だと!
・・・仕方ねぇ。おい、そこのラックの新聞を片っ端から持って行け!
おい支店長、アンタも相当運が良いな」
「それはどうも」



 14:50 逃走中の車内

「兄貴、やりましたね。これで借金返済ですよっ!」
「待て、今確認しているところだ。
えぇっと、俺は宝くじなんて買ったことないから分からんが、
とりあえずここの番号が合っていたらいいんだよな」
「確かそうだったような気が」
「・・・あ、あったぞ! 確かに一千万円だ」
「さすが兄貴、スゴイ!」
「ハッハッハ、もっと褒めろ」



 15:05 銀行内のトイレ

(いやぁ、一時はどうなることかと思ったけど、
まさか偽造した当りくじで一千万円もらえるとはねぇ。しかも利子つきで。あぁ、ホント僕ってラッキーだなぁ!)



 15:10 銀行内の廊下

「支店長、何とか首の皮一枚が繋がりましたね」
「あぁ、ギリギリだった」
「でも、あの当りくじ、ちゃんと利子も付けないといけないんですよね」
「なぁに、あとは保険が何とかしてくれるさ、
何せ盗まれたのは二千万円だからな」
「そう・・・ですね、まぁ何にせよ良かったですね」
「あぁ、銀行強盗様々だな」



 16:54 応接室にいた男の事情聴取

「何だかんだで大騒ぎしてましたけど、結局彼らは何も盗んでいきませんでしたよ。
盗んだのは偽造された宝くじ一枚だけですし」
「いや、ヤツらはとんでもないものを盗んでいきました」
「とんでもないもの?」
「そう、私の休暇ですよ!」
「・・・ご愁傷様です」

23:36 | 短編小説 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑

東京ホタル

「東京には空がない」
 と、まるで高村光太郎の詩のようなことを呟いてみても横にいる彼女は何の反応もなし。
沈黙、沈黙、沈黙。
止めてくれ、空気が痛いからさ、いやホントに。

 全く、付き合って半年になるのに今だこんな感じなのはどうなんだろう。
 まぁ、オレはもともとあまり快活に喋る方ではないんだけど。
(と、こういうと友人から「おいおいウソはつくなよ」と毎度のように突っ込まれるが)

せっかく二人で食べようと思って買ってきたコレも出すタイミングを間違えたしなぁ。
「何、それ」
「これ?東京ばなな」
「ふぅん」
 そしてまた沈黙。うぅむ、仕方ないのでとりあえず食べよう。
何かしら反応があるだろうし。
「ん、食べる?」
「餌付け・・・」
「待て待て、ネコじゃねぇんだから。で、食べないのか、それならオレが」
「誰も食べないとは言ってない」
「さいですか」
 オレは手にしていた箱から東京ばななを一個取り出して手渡そうとしたが、
彼女はあろうことか箱の方を奪いやがった。
「ありがとう、こんなに沢山」
「そっちかよ!ってかそんなに食うなら先に言ってくれ」
「分かった。でも覚えない」
「覚えろよ、ニワトリかアンタは」
「彼は食料と引き替えに身体を要求・・・」
「してねぇ!つーか勝手にセリフを作るな」
「でも、あれって何で『東京ばなな』なんだろうね。もしかして東京の名産ってバナナなの?」
「何で土地の高い場所でわざわざ栽培すんだよ」
「産地直送とか」
「嬉しくもねぇなそれは」
「でも、東南アジアのバナナを栽培している部分だけを東京が買い占めれば・・・」
「国際問題になるな、確実に。
というか大体地域の特産品だけで作られているわけじゃないしさ。
だったら大阪の名産はタコなのかと言いたいね」
「でもたこ焼きってタコが入ってないとダメなんでしょ?」
「だったら人形焼きには人形を入れないとダメなのか?」
「あぁ、ベビーカステラに赤ん坊は入ってないしね」
「入れねぇよ、というか何でそんな発想が出来るんだよ」
「『八仙飯店之人肉饅頭』っていう映画を見て」
「・・・ゴメン、それはちょっと引くわ」
「これを知ってる方もスゴイと思う」
「付き合って半年になるわけだけどさ、そんな趣味があるとは知らなかった」
「え、『ミミズバーガー』なんて見ないよ」
「思いっきりそっち趣味じゃねぇか。まぁ別にいいけど。
でも何を思って見ようと思ったのよ、あんなグロい映画」
「だって、肉まんに人肉だったし」
「え、肉まんが食いたいって?」
「・・・イジメだ、遂にこの辺りにもイジメという人間の心の闇が」
「こらこら、どうしてそうなるんだよ、ってか食いついたのはアンタでしょーが」
「そんなこと言ったっけ?」
「自分のボケを流すなよ、もう何でもアリだな」
「あ、ホタル」
「人の話を――、あ、ホントだ」

 と、オレ達の目の前を数匹のホタルが通り過ぎていった。彷徨いながら、ふらつきながら。
そしてそのまま目の前に広がる夜景に吸い込まれるように消えていった。

「知ってるか、あの街の明かりは全てホタルで出来てるんだぜ」
「蛍の光?」
「そ、窓の雪ってヤツだな」
「へぇ、そういえば、メンマって割り箸を煮たヤツなんだって」
「そんなリサイクルはイヤだぞオレは」
「そう、そしてリサイクルを中国語で書くと『李自転車』に」
「ならねぇよ、大体『リサイクル』って―――っ!」
「きゃっ」

ふっと街の明かりが消えた。突然の衝撃、視界はブラックアウト、何も見えない。
まるで映画館に迷い込んだときのような手探り感。

しばらくすると目の前からポツポツと光が湧き上がっているのが見えた。

「あれは・・・ホタル?」
「・・・だと思うけど」

そしてあっという間に空を埋め尽くすほどのホタルの大群が視界のほとんどを支配する。
それはダイヤモンドのようにキラキラと輝きながら、オレ達を包み込むように揺らめいていた。

「あるじゃないか、東京にも空が」
「何か言った?」
「いいや、別に」

そう言っている間にもホタルはどんどんと、まるで一つの生き物のように幻想的に動いている。
 何だ、まだまだ世界は平和じゃないか。

 目の前には散らばった流星のようなホタルの輝き。
邪魔するものは何もない、そして横には彼女がいる。

 これ以上の幸せって何があるんだい?

22:58 | 短編小説 | comments (0) | trackbacks (0) | page top↑
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。